新潟県南魚沼市にある築約４０年の老舗温泉御宿「龍言」の改修プロジェクトの植栽計画を担当。建物の一部は国の登録有形文化財に指定され、周辺は豊かな大自然の中に多様な生態系を内包した国の指定文化財「坂戸山」の麓に位置する。この地域は新潟でも積雪が2mを超えるほど雪深い豪雪地帯で、冬になると地上にあるもの全てを飲み込んだかのような白銀の景色に包まれ、人々はこの環境下で術と知恵をもって豪雪と共に暮らす。そんな雪国文化圏の暮らしを体験できる新生「ryugon」と共に、人工的な森を創るのをやめ「森をまねく」というコンセプトの基、周辺環境に相応しい植栽のあり方を計画した。

自然を取り込むことで新しい価値を生み出し、「ryugon」ならではの体験を提供すること目指し、記憶を継承する樹木は保存、価値を見極め残す樹は移植、環境をつくるための伐採とし、既存樹の整理からはじめた。新たに植栽するものは庭に自生していたかのような樹種を中心に選定したり、山採りの樹々を移植するなどしながら坂戸山の自然とつながる風景を創出した。

「ryugon」から愛でる風景はゆっくりと時間の経過と共に成長し、いつしか大自然に馴染み、森に同化していくような風景となることを見守りつつ、引続き足を運ぶ。

ryugon　https://www.ryugon.co.jp/jp/